ヨーロッパと中東の間に存在する国「トルコ」。ここ数年インフレが続いていますが、最近動きがありました。どうやらトランプ大統領が関わっているようです。

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トルコリラ急落
トルコ経済は現在、深刻な不安定状態にあります。エルドアン政権による最大野党・共和人民党の有力政治家エクレム・イマモール市長の逮捕を受け、トルコリラは急落し、トルコ中央銀行は3兆円規模の市場介入と緊急利上げ(46%)を実施しましたが、下落前の水準には戻っていません。さらに、インフレ率は公式には39%とされるものの、実質は80%近いと推測され、物価高騰が続いています。特に食料品や外食費の上昇は著しく、国民生活に大きな打撃が。最低賃金は12万円相当と日本に近い水準に設定されていますが、実質的な購買力は低下し、経済の歪みが浮き彫りになっています。
トランプ政権との秘密裏に取引
トルコの権威主義的傾向が強まる背景には、トランプ政権の影響があると考えられています。トランプ政権は中国、ロシア、ハンガリー、トルコなどの権威主義政権に対して寛容な姿勢を取っており、エルドアン大統領はトランプ前大統領との電話会談後、イマモール市長の逮捕に踏み切った可能性があります。特にトルコはイスラエルとハマスの紛争に関する批判を控えるようになっており、トランプ政権との間で密かな取引があったのではないかと推測されます。今後、アメリカがトルコの動向を黙認する代わりに、トルコが中東の難民問題や地政学的課題に協力する可能性もあります。
地政学的変動の影響
今回の事件は、トルコ国内の政治動向だけでなく、国際社会における地政学的バランスにも影響を与える可能性があります。特に以下の点が注目されます。
- NATOとロシアの間でのバランス調整
トルコはNATO加盟国でありながら、ロシアとも一定の関係を維持してきました。ウクライナ戦争では、トルコはバイラクタルTB2無人機をウクライナに供与する一方で、ロシアとのエネルギー協力や経済取引も続けています。今回の政情不安により、トルコがさらにロシア寄りの外交方針を取る可能性があり、NATO内の結束が揺らぐ懸念があります。特に、スウェーデンやフィンランドのNATO加盟問題でも、トルコは交渉材料として利用した経緯があるため、今後も重要な交渉カードとなると見られています。 - 中東政策への影響
トルコは中東地域において、シリア、リビア、イラク、イランとの関係を維持しながら独自の影響力を持つ国です。今回の政治混乱により、エルドアン政権が国内の支持を固めるために、シリアやイラク北部のクルド人勢力への軍事行動を強化する可能性があります。これにより、米国との摩擦が生じるか、逆に取引材料として関係改善が進むか、両面の可能性が考えられます。 - 中国との関係強化
経済的な困難に直面するトルコが、中国の「一帯一路」構想への依存を強める可能性もあります。中国はすでにトルコのインフラプロジェクトや投資を進めており、トルコの外貨準備が減少する中で、人民元建ての取引や中国資本の導入が進む可能性があります。これは、欧米との経済的な距離が広がる一因となりえます。 - 欧州への影響
トルコはEUとの関係でも重要な立場にあります。特に、シリア難民の流入を抑える役割を担っているため、欧州諸国はトルコの政治情勢を注視しています。もし政情不安が長引き、経済がさらに悪化すれば、難民のEU流入が増加する可能性があり、欧州諸国の対トルコ政策が厳格化する可能性があります。
今後の展望
今回の事件は、トルコ国内にとどまらず、NATO、ロシア、中東、中国、欧州といった国際社会の多方面に影響を与える可能性が高いです。特に、2024年の米大統領選でトランプ氏が復帰すれば、権威主義国家との関係がさらに強まる可能性があり、トルコの動向は地政学的な要因としてより重要性を増すでしょう。今後の展開次第では、トルコのみならず、国際社会全体に大きな波及効果をもたらす可能性があります。
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